司法書士関係


司法書士の仕事〜その1〜

 司法書士の主要な仕事といえば、今も昔も不動産・法人のに関する登記手続であると世間一般では認識されているものと思われますが、裁判事務に関する仕事も昔からの司法書士の重要なお仕事であります。今でこそ、司法書士も一定の範囲ではありますが依頼者の方の代理人として相手方と交渉したり裁判手続を代理したりできるようになりましたが、それはあくまで代理人としてできるようになったというお話であり、裁判事務、つまり裁判所に提出する書類の作成に関する業務については、昔から司法書士が取り扱う業務として法律にも定められておりました。そして、事実、司法書士は長年に亘り裁判関係書類等の作成を業務として行ってきました。
 そんなわけで、司法書士は、法律が変った現在でも、仮に依頼者の方の代理人になれない裁判事件であったとしても、書類の作成を通じて依頼者の方をサポートすることにより、事件を解決に導くことが可能なのです。
 ところで、ほんとに司法書士に書類の作成だけでしてもらうことで裁判を遂行することができるのかと疑問に思われたり、心配される方も多いと思います。たしかに、全ての裁判事件が書類の作成だけできていれば、思うような裁判手続ができるとは残念ながらいえないと思います。しかし、事実関係を証明する明白な証拠があるケースや相手方がほとんどまたは全くといっていいほど事実関係について争っていないようなケースでは、こちらが主張・立証すべき要点を押さえた書類の作成さえきちんとできていれば、満足のいく結果が得られる場合も多いと思います。例えば、最近多い消費者金融等への過払金返還請求事件なんかがその最たる例ではないでしょうか(中には難しい案件もありますが・・・。)
 ただし、司法書士が代理できない事件で行うのは、基本的に裁判関係書類の作成とそれに付随する業務のみとなりますので、裁判の期日には必ず依頼者の方ご本人が出頭して、裁判官の前で発言をしていただかなくてはなりません。よって、平日は仕事が忙しくてとても裁判所に出頭する時間なんかないという方の場合は、残念ながら弁護士さんに代理を依頼していただくしかないでしょう。もっとも、例えば訴訟手続の場合、裁判所に出頭するのはだいたい月1回か2回くらいですが。
 というわけで、裁判所に出頭する時間も確保できるし、それほど複雑な事件でもなさそうなので自分で裁判手続をやってみたいという気持ちもあるし、できれば費用も抑えたいし、・・・という場合は、是非、一度司法書士にご相談下さい。


司法書士とは?

 司法書士とは、世間一般に広く知られているのが不動産登記及び商業登記の専門家ということでしょう。具体的には、土地や建物の売買、贈与、相続等によりその権利が動く場合や資金を借り入れるために土地等に抵当権を設定するような場合に不動産登記を申請することになり、また、会社や法人を設立したり役員の変更が生じた場合に商業登記を申請することになるわけですが、このような場面に登場する法律専門家が司法書士なのです。
 さらに、司法書士は各裁判所等に提出する書類の作成も主な業務として行っており、弁護士等の代理人に依頼することなく、自分で訴訟等を提起して紛争を解決することを望む依頼者に対して、書類の作成・法的助言等をすることにより、いわゆる本人訴訟の追行に尽力するというのも主な業務をいえるでしょう。

 しかしながら、近年の法改正や司法書士全体の取り組みによる実績により、司法書士業務の内容やイメージも大きく変わってきています。
 まず、平成15年4月1日の改正司法書士法の施行により、一定の研修を履修したうえで法務大臣の認定考査に合格するという条件を満たした司法書士には簡易裁判所における民事訴訟等の代理権(ただし訴額140万円以下)が付与させることになりました。このことにより、司法書士は全国各地の簡易裁判所において依頼者の代理人として法廷での訴訟活動ができるようになりました。また、訴訟代理のみでなく、裁判外の和解や簡易裁判所でも民事調停の代理も可能になりました。
 さらに、裁判書類作成関係業務との関係で、いわゆる債務整理業務(破産・個人再生・特定調停の申立、過払金の返還請求)にも積極的に取り組んでいます。
 それから、平成17年4月1日から、簡易裁判所における少額訴訟手続の代理に関与した司法書士は、当該裁判により得られた債務名義に基づく執行手続の代理もできるようになりました。このことにより、少額債権(60万円以下の金銭債権)については訴訟提起から回収まですべて代理できるようになったわけです。
 また、平成18年1月20日より施行されています筆界特定制度(土地の境界に関する新しい紛争解決手段です)についても上記の認定司法書士には一定の範囲で手続代理権が付与されています。
 以上が、司法書士の従来からの主要な業務と新しく加わった業務でありますが、この他にも法律相談等の様々な業務を行っていますので詳しくはお尋ねください。