商業法人登記


 法人役員の予選問題(2014年7月26日)

 巷では高校野球の予選もチラホラと終っているようですが、司法書士の仕事の中で「予選」といえば、思い浮かぶのは各種会社や法人(以下、「会社等」といいます。)の登記業務における役員の予選問題です。会社等の役員の予選とは、簡単に言いますと、「将来の一定の時期に就任する予定の役員を予め選任すること」をいいます。役員の選任は、法律や定款において各種の会社等毎に決められた方法で行わなければならず、その方法はというと、ほとんどが各種総会(株主総会、社員総会等)や役員会(取締役会、理事会等)において選任する方法によることになりますが、会社等の組織の規模、構成員の属性、活動内容、役員の任期形態等によっては、必ずある一定の時期でなければ総会等を開催して役員を選任することができない(結果、必然的に予選になる)ケースもありますので、役員選任の実務において、予選問題を考えることは非常に重要です。
 さて、なぜ予選「問題」と述べているかといいますと、予選の時期や内容によっては、予選した役員の就任登記が登記実務上受け付けられないケースがあるからです。以下、予選した役員の登記が認められない主なパターンを挙げてみます。
 
@ 役員を予選(選任)した日から将来の就任日までの期間が比較的長期になる場合(先例:昭和41年1月20日民事甲271号回答参照)
→ ただし、一般的には、予選から就任までの期間が短く(登記実務における相場としては1か月程度が目安とされています)、予選することに合理的な理由があり、予選時と就任時で役員を選任する会社等の構成員に著しい変動がなければ有効であるとされています。

A 例えば、株式会社の代表取締役を取締役会(又は取締役の互選)によって予選(選定)する場合において、予選時の取締役と就任時の取締役で構成員が異なる場合(登記研究221−48、同701−207)
 → 株主総会で改選前の取締役が将来の新しい代表取締役を予選した場合で、代表取締役の就任時点で予選を行った改選前の取締役が全員再選しているような場合はOK.ということになります。

 では、実際、予選した役員の登記の可否に関する実情はどんなものかといいますと、一応上に述べましたような基準はあるので無制限ではありませんが、ケースバイケースで登記の可否にも一定の裁量幅があるはないかと個人的には思います(ただしAのケースはほぼ不可)。したがって、もし、予選役員の登記の可否で問題が生じた場合は、当該会社等の実情を登記所によくよく説明され納得(?)してもらえるかどうかだと思います。
 因みに、私の実務経験上で予選役員の登記が認められたケースで、予選から就任までの期間が最長期のものはといいますと・・・・。


 株主総会の招集通知(2014年6月24日)

 3月決算の株式会社においては、6月の最終週に定時株主総会を開催するケースが多いため、今週あたりは全国各地で軒並み開催されていることでしょう。もっとも、株主が1人のみの会社や少数の親族縁者のみで構成されている会社においては、そもそも株主総会自体が常態的に開催されていないケースも多いのが実情なので(法的にはダメですが)、株主規模の大きな会社の少ない篠山市ではあまり実感がないところです。
 さて、株主総会の開催が多いこの時期に多い質問の1つに、「株主への招集通知を何時までに出せばいいのか?」というものがあります。この点に関しては、たまに適切な時期に招集通知がなされていないケースを見かけますので、注意が必要かもしれません。
 まず、法律上は、会社法299条1項に規定があり、要約すると「株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の2週間(公開会社でない株式会社は1週間、取締役会設置会社以外の株式会社でこれを下回る期間を定款で定めた場合はその期間)前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。」と規定されています。なお、多くの株式会社(いわゆる中小企業)は「1週間前」のケースに該当するものと思われますので、定時株主総会の開催日の1週間前に株主に対して招集通知を発送すればよいことになります。
 では、この「1週間前」は具体的にどのように計算するのかといいますと、「開催日と通知発送日の間に1週間の期間を置く」ということになります。したがって、例えば本日6月24日が定時株主総会の開催日であれば、最低でも6月16日には株主に対して招集通知を発送していなければならないことになります。
 因みに、株主総会の招集通知の発送時期については、基本的に登記の場面では審査対象にならないことが多い(適法な招集通知がなされたかどうかは書面上明らかになってこないため)ので、株主総会の招集通知に違法があっても登記自体に支障はないかもしれませんが、「株主総会等の招集の手続が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときで開催された場合は、株主総会の決議取消しの訴えの対象になります」ので(会社法831条1項1号)、株主総会の招集手続に関してはきちんと適法に行っておくべきでしょう。


 今年は「みなし解散」の年らしい(2014年4月15日)

 通常、営業活動をしている株式会社であれば、一定期間毎に最低限、何等かの登記(主に役員変更登記を想定)をすることが予定されています。したがって、一定期間に亘って何の登記もしていない株式会社については、もはや営業活動を行っていない株式会社(これを「休眠会社」といいます。)と考えられるため、そのような株式会社については、一定の手続(官報公告と会社への通知)を踏んだうえで、なお反応のない会社については、解散したものとみなすとされています(会社法472条)。そして、この会社法の規定により解散したものとみなされた株式会社については、管轄の登記所の登記官が職権で解散登記をすることになります(商業登記法72条)。
 では、この一定期間ですが、どのくらいの期間かといいますと、旧商法時代は「最後の登記があった時から5年(旧商法406条の3)」とされていましたが、現行の会社法が施行されてからは「最後の登記があったときから12年(会社法472条1項)」とされています。なお、ここでいう登記には、登記官の職権登記は含まれません。
 したがって、登記簿上現存する株式会社であって、最後の登記から12年以上の期間に亘って何の登記も申請していない株式会社については、法律上解散したものとみなされて職権で解散登記がされてしまう可能性があるわけです。
 ところで、前回、この職権による解散登記が該当する会社に対して一斉になされたのは平成14年12月3日でした。そうすると、今年は、それからちょうど12年目になりますので、今年中にはみなし解散の処理がなされる可能性が高いとのことです。
 閉鎖会社(株式全部の譲渡制限がある株式会社)の役員の任期が定款で最長10年まで延長できるようになってから、役員の任期管理もお座成りになりがちですので、なすべき役員選任や登記を忘れて、みなし解散の対象になってしまわないように注意したいものです。


 許認可と役員変更登記の関係(2014年1月23日)

 会社の役員変更をする場合においては、当該会社の業種に関わる許認可についても意識する必要がある場合があります。
 例えば、会社が建設業者の場合、建設業許可の要件として以下のようなものがあります。

建設業法
(許可の基準)
第7条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一  法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者(※1)

※1 昭和47年3月8日建設省告示第351号(改正平成12年12月12日建設省告示第2345号)
 建設業法(昭和24年法律第100号)第7条第1号ロの規定により、同号イに掲げる者と同等以上の能力を有する者を次のとおり定め、昭和47年4月1日から適用する。

1 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
2 許可を受けようとする建設業に関し7年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位(使用者が法人である場合においては役員に次ぐ職制上の地位をいい、個人である場合においては当該個人に次ぐ職制上の地位をいう。)にあつて経営業務を補佐した経験を有する者
3 前各号に掲げる者のほか、国土交通大臣が建設業法第7条第1号イに掲げる者と同等以上の能力を有すると認める者

 以上のとおり、建設業の許可を取って事業を営む会社においては、常勤役員(取締役)として同業種5年又は異業種7年以上の建設業経営者経験(要は社長経験)がある者を在職させていなければならないということになっています。
 そうすると、例えば、事業承継なんかで経営経験の長い社長等役員を一新する場合に、後継者として上記の許認可要件を満たすような経歴のない者だけを役員(取締役)に選任すると、建設業の許可要件に抵触することになり、そうなると一旦廃業のおそれも出てくることから注意が必要になります。このような場合は、後任の社長が許可要件を満たすまでの当面の間、現社長も取締役として引き続き在職しておくのがよいでしょう。詰まるところ、事業承継は時間をかけてしましょうというわけです。
 このように登記内容に許認可要件が絡むような事案は他にもありますので、業種に応じて登記内容が許認可要件に抵触しないか事前に確認しておくのがよいでしょう。


 合同会社が流行っている?(2013年1月15日)

 合同会社という種類の会社をご存知でしょうか?この合同会社という制度、平成18年に創設された割と新しい会社制度なのですが、最近、この合同会社の設立が増えてきているらしいのです。
 増えているということは、それなりに魅力(メリット)があるはずなのですが、従来からある株式会社と比較してどのようなメリットがあるかというと、主なものは以下のとおりです。

@ 会社設立に当たって、定款についての公証人の認証が不要(設立のコストと手間の削減)
A 会社設立登記の登録免許税が安い(6万円、因みに株式会社は最低15万円)
B 現物出資の検査役の調査が不要(検査役選任の手間、時間、コストの削減)
C 機関設計が自由(機関を設置せず社員1名のみでも可)
D 社員の任期がない(変更登記費用の節減)
E 資本金組入額の制限がない(資本金0円も可能)
F 重要事項の決定につき社員全員の同意が原則(複数社員全員の意思の反映が可能)※1
G 計算書類の公告義務がない(株式会社でも公告していない会社は多いですが・・・)
H 出資比率に関係なく利益配当が可能
I 定款による自由な会社設計が可能

(※1 反対に社員間の意見対立により会社が機能不全に陥るリスクもあると言われたりもします。)

 こうして見ますと、設立、運営の手間とコストが削減できるという面にどうしても目がいってしまいますが、一方で、定款による会社設計の自由度が高いということからいわゆるプロ向きの会社であるみたいなことも言われたりもしています。
 さて、このような特徴のある合同会社ですが、一般的にどのような場合にお勧めかといいますと、とりあえずシニア、主婦、個人事業者等の方が1人だけで出資して社員となって会社を設立して運営していくというような場合等に利用価値があるというふうに言われています。
 会社といえば株式会社ではなくて、こんな会社もありますので、起業にあたっては検討されるのもよいかと思います。


 株主の管理と整理(2013年12月25日)

 一般的に株主数の少ないと思われるいわゆる中小企業の部類に属する株式会社であっても、株主の構成が複雑になってしまっているケースは間々あります。その原因はというと、最近は株主1人の株式会社を設立することも珍しくなくなりましたが、ちょっと昔(平成初期頃〜)では、株主複数(8名〜)で会社設立するケースが通常でした(もっとも単なる名義貸しのケースも結構ありました)ので、会社設立当初から現在に至るまでにおいて、株主についてきちんと管理していないと、いつの間にか相続や譲渡等で株主の構成が複雑になったり、株主が行方不明になったりすることがあるからです。
 さて、きちんと株主総会を開催する等により会社を適法に運営するには、会社において法定の記載事項(会社法121条)を備えた株主名簿を作成し、当該名簿に基づいて株主の管理がきちんとできていなければなりません。また、株主の管理を怠った結果、株主構成が複雑になってしまった場合は、事後的であっても株主の整理をしなければなりません。創業者から後継者へのスムーズな事業承継や株主管理コストの削減等のためには株主の整理は欠かせないからです。

 まず、株主の管理の面ですが、主に次のような対策が講じられています。
@ 株主名簿の作成・更新(前提として株主の徹底調査をする)
A 定款に株式の譲渡制限規定を設定
B 定款に相続人等に対する売渡請求に関する規定を設定(会社法174条)
C 定款の株券発行に関する定めの設定・廃止と株券の整理
D 株主名簿管理人の設置(会社法123条)
 
 次に、株主の整理の面ですが、主に次のような方法が用いられたりします。
@ 合意による支配株主への株式譲渡
A 会社による自己株式の取得(会社法156条等)
B 相続人に対する売渡請求(会社法176条)
C 名義株主の排除
D 所在不明株主の株式売却(会社法197条等)
E スクイーズ・アウト(株式併合、全部取得条項付種類株式の発行等による端数株式の売却(少数株主の排除))

 と、ごく一般的なことを書いてはみましたが、実際問題、株主管理の懈怠が長期間放置され株主構成が相当複雑になっている場合においては、そもそも真の株主が不明なケースもあるため、真に実体に合った株主構成になるよう有効に整理するのは至難の業であったりする場合もあるようです。
 というわけで、将来、会社の転機が訪れた時に困らないよう、日頃からきちんと株主の管理はしておくべきですし、株主の整理が必要な場合は、早めに着手した方がよいのでしょうね。


 生産森林組合の登記(2013年10月16日)

 篠山市は周囲を山に囲まれたいわゆる山村地域ですので、広範囲にわたって森林があります。
 したがって、以前は林業もそれなりに盛んであったようでして、これに関連して多くの生産森林組合が設立されたようです。
 生産森林組合(以下、単に「組合」といったりします。)とは、簡単に言えば、「一定地域内に森林を所有する林業従事者である組合員で構成し、組合員の利益のために活動する法人」です。因みに、篠山市内だけでも20以上の組合があるそうな。
 さて、この生産森林組合ですが、森林組合法という法律でその存立が規定されておりまして、同法により法人格が与えられており(法5条)、よって、法人の登記をしなければならないとされています(法8条)。
 したがって、組合を設立した際は、設立登記を管轄の法務局に申請しなければなりませんし、役員を変更したり、出資口数や出資総額に変更が生じた場合は、一定期間内にその変更登記をしなければなりません(登記を懈怠していると過料が課せられます。)。
 ところが、生産森林組合の登記手続自体は結構マイナーな部類に属するようで、この組合の登記手続のみにスポットを当てて解説したような書籍なんかはあまり見かけません。したがって、この部類の組合の登記を処理する場合、法令等を参照しながら地道に手続をしなければなりません(まぁ、本来はこれが法律業の当たり前なんですが、参考書籍等が豊富に出回るとどうしてもまずはそちらに頼ってしまいがちなのです。)。
 そこで、まずは、参照すべき法令等ですが、挙げてみると以下のとおりです。

@ 森林組合法(これが存立根拠法)
A 森林組合法施行令
B 森林組合法施行規則
C 組合等登記令(登記手続の根拠政令)
D 各種法人等登記規則
E 組合定款

 登記手続に関してであれば、主に@、C、D、Eについて、登記手続に関係する事項を読み取れれば、大体のことは理解できます(ただし、条文数はかなり多いので、見ただけで読むのが嫌になるかもしれません)。
 もっとも、法令だけでは理解できない登記実務上のコツみたいなものがありまして、これについては、他の同類型の法人に関する登記手続を参考にしたりしながら考えなければなりません。

 巷では「何か知らないけど法務局に相談に行って適当にやったらできた」みたいなこともあるようですが、真の意味で手続を理解し実体に合った正しい登記をするのは、上記のとおり結構大変なのです。
 近年、会社や組合の法人登記を管轄する法務局が本庁(兵庫県内なら神戸)に集中化された関係で、法人の登記手続が面倒になってきているようなお話も聞きますが、法人登記は、一旦放置すると、後で取り返すのが結構大変です。
 司法書士は、法人登記の唯一の専門家ですので、登記を放置する前に、一度ご相談いただければと思います。


 役員になれない人(2013年1月22日)

 会社等の法人の役員については、選ばれさえすれば誰でもなれるというわけでもありません。
 例えば、株式会社の場合、以下のいずれかに該当する者は、取締役、代表取締役又は監査役になることができませんので(会社法331条・335条)、役員の選任にあたっては注意しなければなりません。

1.取締役(代表取締役)になれない者
 □ 法人
 □ 成年被後見人、被保佐人、外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
 □ 会社法その他の法令の規定に違反し、罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
 □ 法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
 □ 委員会設置会社の取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。
 □ 会社又はその子会社の監査役(兼任禁止なので前提として監査役の辞任が必要)
 □ 意思能力の無い者(解釈上)


2.監査役になれない者
 □ 法人
 □ 成年被後見人、被保佐人、外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
 □ 会社法その他の法令の規定に違反し、罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
 □ 法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
 □ 会社若しくはその子会社の取締役、支配人その他の使用人、当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、執行役(これは兼任禁止という意味)
 □ 意思能力の無い者(解釈上)


(注) 取締役(代表取締役)又は監査役の任期中に破産開始決定を受けた者については、役員の退任事由に該当しますので一旦役員を退任しますが、会社法の施行に伴い、復権前でも改めて選任することは可能となりました。

 上記のような役員の欠格事由に該当する者を役員に選任しても無効であり、また、兼任禁止の役員に選任するには他の役職を辞さなければなりませんので、役員の候補者選びの際は事前調査を入念にしておくべきでしょう。


 商業・法人登記の集中化(2012年5月19日)

 既に完了していますが、「商業・法人登記の集中化事業」をご存知でしょうか?従来は、全国各地にあります法務局において、当該管轄区域内に存在する会社や法人の登記事務を扱っておりましたが、この集中化事業により、基本的に各都道府県内の会社や法人に関する登記事務は一箇所で集中して取り扱うものとされました。
 そして、上記の集中化事業の実施に伴い、兵庫県においては、神戸市の神戸地方法務局本局において、県内全ての会社等に関する商業・法人登記事務を取り扱うこととされました。篠山市や丹波市に存在する会社や法人に関する登記事務についても、平成23年6月20日より、すべてこれまでの柏原法務局ではなく、神戸の法務局で取り扱うこととされました。
 よって、丹波地域の多くの会社や法人の皆さんは、去年まではともかく、今年からは役員変更等の登記の申請は原則として神戸の法務局へ行わなければなりませんし、会社等に関する登記相談も原則としては神戸の法務局へ行わなければならなくなり(ただし、簡単な相談は柏原法務局でも受け付けてもらえるようですが)、ちょっと不便になったなと思われている方もあるのではないでしょうか。
 もっとも、会社等の登記簿謄本や印鑑証明書については、これまでどおり柏原法務局で取得することができますので(ただし、閉鎖された古い登記簿謄本等は神戸地方法務局に請求しなければなりません。)、専門家等に頼まれずにご自分の会社で登記手続をされている方以外はそれほど不便を感じられないのかもしれません。
 さて、今年も例年どおり、3月決算の会社では、6月には定時株主総会を開催し、必要に応じて役員変更等の登記を期限内に申請しなければなりません。上記の商業・法人登記の集中化に伴い、商業・法人登記手続について支障やお悩みが生じた際は、どうぞお近くの商業・法人登記の専門家・司法書士までご相談下さい。法改正により、一定要件を満たした会社では、役員任期を10年まで伸長できたり、役員数を1名まで減らしたり、なんてこともできるようになっています。

(ご注意)
1.商業・法人登記については、登記の懈怠(申請期限内に登記を行わないこと)に対して、過料(過ちに対する罰金みたいなもの。100万円以下の範囲)が課せられます。特に、役員変更登記等を長期間行わずに放置していて、いざ申請を行うと相当程度の過料が発生し、裁判所より納付するよう通知が届きますのでご注意を!!
2.商業・法人登記業務を法律上取り扱える専門職は司法書士か弁護士のみです。それ以外の無資格者による登記業務取扱いは法律で禁止されていますので、登記手続を依頼される際にはご注意下さい。

(追伸)
 兵庫県司法書士会では、本年6月を「役員変更登記はお済みですか月間」と銘打ち、役員変更登記に関する無料電話相談(お近くの司法書士の紹介や無料相談会場の案内も)を次のとおり行われるようです。

日時:平成24年6月1日(金) から 6月29日(金)までの平日の午後1時 から 4時まで
相談方法:電話のみ
専用電話番号  078-341-9052