その他法律一般


 個人間の金銭消費貸借と金利制限(2013年12月9日)

 個人と貸金業者との間の金銭消費貸借(お金の貸し借り)に関しては、特に、いわゆる債務整理の場面において、利息制限法や出資法といった法律の適用が問題となりますが、これら法律は別に業者が行う金銭消費貸借に限って適用されるわけではなく、純然たる個人間(友人同士、親戚同士等)における金銭消費貸借にも適用されます。
 したがって、個人間の金銭消費貸借において、仮に利息を定める場合は、法律の制限内の利率による利息を定めなければなりません。また、これら法律に違反するような高利を収受した場合は、制限超過分の利息契約は無効として超過利息の返還の問題が発生したり、あまりに高利だと刑事罰が科せられたりしますので注意が必要です。
 業者ではない個人間の金銭消費貸借の場合では、あまり金利制限に関する法律違反がトラブルとして表面化することは多くないかもしれませんが、きちんと金利計算してみると実は法律違反だったというケースは間々あります。高利貸が許されないのは個人間でも同じですので、利息有りでお金の貸し借りをする際は、ちょっと法律面についても考えてみましょう。

利息制限法
(利息の制限)
第1条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一  元本の額が10万円未満の場合 年2割
二  元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年1割8分
三  元本の額が100万円以上の場合 年1割5分


出資法
(高金利の処罰)
第5条 金銭の貸付けを行う者が、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。  


 法律関連書籍の誤植と信頼性(2013年11月28日)

 一般的に書籍類には多少の誤植(誤字、脱字、遺漏等)は付き物ですが、基本的に堅いことが書いてある法律関連書籍でも誤植はよくあります。この点、少々の誤字、脱字程度の誤植であって内容的に問題がなければそんなに気にもなりませんが、それでもあまりに該当箇所が多いと嫌悪感を覚えますし、延いては「この本の内容は信用できるものなのか?」と書籍の信頼性にも疑いを持ってしまうことにもなりかねません。まして、明らかに間違ったような記載(参照条文が合わない、前後の文脈が全く繋がらない、全く同じ内容を続けて重複記載している等)があると、書籍に対する信頼性も無くなりちょっと読むのも嫌になります(最近買った本への愚痴です)。
 ところで、法律関連書籍を中心に発刊している出版社は結構多くありますが、その中においても、書中にほとんど誤植を見かけない出版社と頻繁に誤植が見つかる出版社があったりします。このあたりの事情は、やっぱり出版社ごとの校正の仕事の力量が影響しているのだろうなという気がしますが、どんなもんでしょうか?それとも単に著者の力量か??


 古い六法は役に立つ(2013年11月16日)

 法律業務は最新の法律に基づいて行うのは当たり前でありまして(え〜!?法律変わってたの・・・なんて不細工なことは許されません)、執務を行う際は最新の六法片手に(若しくはインターネットで最新の法律を見ながら)行うのが基本です。
 ところが、執務の内容によっては、現在の法律ではなく過去の(事件当時の)法律に基づいて執務を行わなければならない場合もあります(そこまで行かなくても事件当時の法律を知らないと事件の要点がいまいち掴めない場合があったりします)。
 そんなとき、結構役に立つのが古い六法(全書)です。特に、既に廃止されていたり大改正で原型が無いような法律については、インターネットでもなかなか調べるのに骨が折れますし、古本屋等でも相当古い六法(昭和時代)はなかなか手に入らないので(有るには有るがそれなりの物は値が張って購入意欲を削がれます)、六法は古くなってもとりあえず置いておくといざという時に助かります。
 というわけで、私の場合、六法全書は、もう使わなくなっていようが、場所を取って邪魔になろうが、埃だらけになっていようが、とりあえず保管しているのが現状です。


 農地の権利異動と農業者年金(2013年10月25日)

 農業経営者の方は、ある程度の年齢になると後継者に経営を委譲し、農業経営から引退される場合が多いと思います。
 そして、引退された後は、一定年齢以後、農業者年金(経営委譲年金)を受給しておられる場合が多いでしょう。
 ところで、後継者に既に経営委譲し農業経営から引退しているにもかかわらず、所有農地の使用収益権を他者へ設定又は移転したり(使用収益権の設定による経営委譲の場合には、農地の所有権が委譲元に残っているためこれが可能)、又は、他者から農地を取得したりすると(取得の事由は基本的に問いません)、農業者年金(経営委譲年金)の受給権に影響する可能性があります(具体的には年金の支給停止事由に該当することになります)。理由は、外形的に見て年金制度の趣旨に反する行為だからです。ただし、ケースによっては支給停止にならない場合もあります。
 というわけで、後継者に農業経営を委譲し、経営から引退された後に、農地について何らかの権利異動を生じさせる場合は、農業者年金のことについても注意を配らなければなりません。
 詳しいお話は独立行政法人農業者年金基金のHPをご覧になるか地元の農業委員会でお聞き下さい。


 内容証明を素早く作って出す方法(2013年5月28日)

 法律の仕事をしていると、時には相談されたその場で何らかの法的対処をしなければならない場合があります。例えば、訪問販売で買った商品をクーリングオフしたい、瑕疵のある契約の取消しをしたい、債権の時効を中断したいといったような場合、その権利行使には期間の制限があるため、一定期間内に権利行使しなければ以後権利行使が制限されてしまうわけですが、その期間が間近に迫っているような場合(極端な話、相談日が期限であるような場合)は、すぐに何らかの対処をしなければなりません。
 そして、その対処方法はというと、通常は権利行使をする旨の文書の作成を作成し、相手方に送付するといった方法になります。
 そんなわけで、法律専門家であれば、比較的簡易な文書であれば、その場で作成してご相談者の方にお渡ししなくてはならないケースも間々あったりするわけです。
 さて、そうは言いましても、ご相談があったその場で適切な文書を作るというのはなかなか難しいものです。時間があれば、いくらでも作れるのですが、時間が無いのですから、ちょっと工夫が必要です。以下、内容証明文書を例に私なりの工夫をご紹介します。

1.まず、素早く作成することができるように日頃から準備しておくことが必要です。具体的には、「必ず記載する定型の文言を入力した文面を内容証明郵便用の字数制限に対応したフォーマットで予め作成」しておきます。こうしておくことで、後は個々の事案に応じた内容を記載するだけで素早く作成できます。ここでのポイントは、字数制限に余裕を持たせておくことです。例えば、A4横書きで内容証明通知を作成する場合、私はパソコンのワードで1頁につき1行字数20字以内、行数26行以内で作成するのですが、ワードのページ設定では1行18字以内、1頁24行以内くらいで設定します。こうしておくと、括弧や句読点で字数オーバーになり郵便局で訂正させられるカッコ悪いハメになることはありません。
 
2.内容証明通知の専門書を常備しておきます。特に文例が豊富なぶ厚い物がいいでしょう。事例に近い文例があれば時間短縮になります。

3.相談内容から事件の概要を把握し、更に相手に対する権利主張に最低限必要な事実を聴取して拾い出し、その事実から導かれる法的主張を選択してからそれを文章に纏めます。これを素早くこなすのは至難の業でして、日頃から知識を磨き、経験を積んでおかなければなりません(自戒の念を込めて)。時間が無いなら、最悪、主張できそうなことはとりあえず全部主張してしまうような場合もあるかもしれません。もちろん、不利なこと、矛盾すること、更に紛争を巻き起こすことは書いてはいけませんが。

4.文書が作れたら、誤字脱字をチェックしてから郵便局へ走ります。内容証明郵便を出す場合は、大きい郵便局(篠山市なら篠山郵便局)に行きます。また、土曜日、日曜日でも出せますので、諦めてはいけません。また、配達証明も忘れずに付けましょう。


 以上、私なりの素早く内容証明文書を作って出す方法でした。
 無論、法律文書の類はある程度の時間をかけて練り上げて作るのが通常でしょうから、上記の方法で素早く対処できるような事例は限られてくるかもしれませんのでご注意を。


 印紙税(収入印紙)の要否(2013年4月27日)

 司法書士は、仕事柄いろんな書類を作りますが、書類によっては印紙税(国税)が課税されるものもあり、課税される場合は収入印紙を貼付して税金を納めなければなりません(もちろん納めるのは依頼者の方ですので念のため)。これを間違ったり誤魔化したりすると罰則や過怠税が課されます。したがって、司法書士にとって、印紙税の知識はある程度は必要なものなのです(実際、依頼者の方からいくら貼ったらいいかよく聞かれるのです)。
 印紙税法には課税物件と非課税物件(あるいは非課税文書)について規定がありまして、単純に言うと、課税物件に該当する文書には印紙を貼り、非課税物件(あるいは非課税文書)には印紙を貼らなくてもよいということになります。課税物件の例としては、不動産の売買契約書や金銭の消費貸借契約書があり、非課税物件の例としては、営業に関しない領収書(司法書士業の領収書等)があり、非課税文書の例としては世間一般でよく知られている「受領金額3万円未満の領収書」なんかがあります。
 ところで、司法書士は、簡易裁判所の代理権を取得し、一定の金額の範囲であれば、依頼者の方に代わって紛争の相手方と和解(示談)交渉ができるようになり(もう随分前からですが)、加えていわゆる債務整理(ここでは特に任意整理や過払金返還請求)を多く手掛けるようになったことから、以前に比べ紛争解決に際して和解書(示談書)を頻繁に作成するようになったように思います。
 さて、ここで今回のお題ですが、この和解書(示談書、例えば「和解金として金100万円を支払う」との文言があるもの)には、収入印紙を貼って印紙税を納めなければならないのでしょうか?一部の信販会社や消費者金融が作成する和解書(示談書)には印紙貼付欄が設けてあり、「収入印紙は各自が貼ること」みたいな文言が書いてあったりするので、ふと疑問に思ったりするのです。
 私愛用の印紙税の本によると、答えとしては、収入印紙は貼らなくてよい、つまり印紙税は納めなくてよい、とのことです。理由は、和解契約は印紙税法上の課税事項に該当しないことから、和解書(示談書)は印紙税法に定めるいずれの課税物件にも該当しないため、とのことです。ただし、和解金の弁済の代わりに不動産を譲渡する場合は「不動産の譲渡に関する契約書」に該当し課税されるようです。
 印紙税法にズバリ非課税(非課税物件、非課税文書)であるとは書いてないのですが、「課税すると書いてないので非課税扱い」みたいな感じです。いまいちシックリきませんが、今回は結論だけで良しとしましょう。


 司法書士がこの時期に気になること(2013年3月30日)

 年度が切り替わるこの時期、司法書士の仕事をしている者は毎年必ず気にしていることがあります。
 それは、ズバリ「税制」についてです。
 登記の仕事をしていると、必ずといっていいほど付き纏うのが税金の問題であり、その代表格といえば登録免許税という登記をするために納める税金があります。依頼者の方から「司法書士さん、ごっつい報酬貰ってですねぇ」なんてたまに言われると、「いや〜、これ半分以上税金なんですわぁ〜」なんて会話をしたりしますが、そんな感じで税制は登記業務に与える影響も大きいのであり、税率を間違ったりすると、後で依頼者の方にご迷惑をお掛けすることになり大問題なのです。特に年度を跨ぐような依頼だと、新しい税制を考えて業務を進めないとダメなので大変です。
 さて、その登記に関する税制ですが、昨日法案が通り、来年度の登記税制が決定しました。
 少し注目点を以下に掲げてみます。

 @ 土地の売買に関する減税措置(租税特別措置法第72条関係)は、2年間延長です。
 A 住宅の新築、取得、担保設定に関する減税措置(租税特別措置法第72条の2、第73条、第75条関係)は、2年間延長です。
 B 電子申請減税措置(租税特別措置法第84条の5関係)は、平成25年3月31日をもって廃止です。
 C 信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減(租税特別措置法第78条関係)は、2年間延長です。

 ついでに、登記以外で注目すべき税制改正も掲げてみます。いずれもよくついでにお尋ねがあります。

 @ 所得税の最高税率の見直し(課税所得4,000 万円超について45%の税率を創設)
 A 住宅ローン減税の拡充(4年間延長、認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)の最大控除額が500万円、それ以外の住宅が400 万円)
 B 相続税の基礎控除の引下げ(「5,000 万円+1,000 万円×法定相続人数」が「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」に変更)
 C 相続税の税率構造の見直し(最高税率を55%に引き上げる等)
 D 贈与税の税率構造の見直し(孫等が受贈者となる場合の贈与税の税率構造を緩和等)
 E 相続時精算課税制度の拡充(贈与者の年齢要件を65 歳以上から60 歳以上に引下げ、受贈者に孫を加える)
 F 子や孫等に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
 G 不動産譲渡契約書等に係る印紙税の税率の特例の拡充等及び領収書の免税点の引上げ

 登記に関する税制については大きな変更は無いようなので、司法書士的にはとりあえずホッとしますね。
 相続税や贈与税に関する改正は要注目なので、気になる方はちょっと勉強した方がいいかもしれません。


 白紙念書の抗弁とその対抗策(2013年3月15日)

 私も最近知りましたが、「白紙念書の抗弁」なる言葉をご存知でしょうか?
 白紙念書とは、白紙に署名と実印による捺印だけをしたものでいわゆる街金や闇金なんかが借主によく書かせる類の書面です。
 また、抗弁とは、要は相手方の主張に対抗する主張のことをいいます。
 そして、白紙念書の抗弁とは、「その念書(同意書、確認書その他同趣旨の差入れ文書)の署名・押印は確かに私の自筆と実印であるが、私が署名・押印したときは何も書いてない白紙状態であったのであり、内容は後から相手が勝手に印字した(書き入れた)ものであるから、その念書は無効である」などと主張して、相手が証拠として示した念書の有効性を争うことをいいます。
 通常、内容のある文書に本人の署名・押印がしてある場合は、その内容どおりの事実と法律効果が生じたものとして扱われるのであり、上記のような白紙念書の抗弁の主張は通用しないものですが(こんな主張が一般に通用したら書面なんて何の意味もありません)、当事者間の力関係や署名・押印時の事情(緊急事態を回避するためにとりあえず応じた等)によっては、真正に作成された文書ではないということで無効とされる場合が万が一にもあるかもしれません。
 そんなわけで、債権者としては、相手方たる債務者が切羽詰って白紙念書の抗弁でも主張してきた場合に備えて、念書等を取る際に予め対策を打っておくことがあったりします。
 どういう対策かというと、念書等の文書の文字のうち、直接法的効果に影響しないような部分を一部だけわざと間違えて作成しておき、その部分を訂正印で作成者に直させるのです。そうしておくと、白紙に署名押印だけさせておいて後から文書を書き入れたものではないことが明白なので、白紙念書の抗弁なんてまず通用しなくなるというわけです。
 これぞまさに実務の知恵というやつですね。
 万が一でも警戒しておくべき相手から念書等を取る際はちょっと考慮してみてもいいかもしれません。
 反対に念書等を差し入れる側としては、ちょっとした間違い箇所に訂正印を押さされた場合は、もしかしたら相手はこなれたプロか相当警戒して慎重になっていると勘繰ってみてもいいかもしれませんね。大体考え過ぎで終わるでしょうが・・・。


 債権管理と回収のコツ(2013年2月23日)

 先日受けた研修会のまとめです。

1.債権管理のコツ
(1) 取引相手の調査
 @ 秘密裏に行う。相手に発覚すると取引自体が成立しない。
 A 低コストで行う。取引するかどうかわからない時点で多額の費用はかけない。
 B 低労力で行う。取引するかどうかわからない時点で多大な労力はかけない。
  →・ちょっとした会話の節々から発見したりやインターネット検索を利用する。
 C 取引開始後は、日常の取引の際に素早く、さり気無く調査する。
(2) 証拠の確保
 @ 契約書等をきちんと作成するよう心がける。
 A 不十分な契約書等は改訂したり・覚書等で補充するよう働きかける。

2.債権回収のコツ
(1) 緊急時の素早い対応と思い切りの良さが必要。迷っていては回収できない。
(2) 回収するための準備ととして債権残高、担保、反対債権、差押財産の確認をする。
(3) リスクを少しでも抑えるための方法を考える。
  → 担保の追加徴求(個人保証等)、反対債権の創出(相殺の処理のため)、取引量の抑制、取引方法の変更、支払いサイクルの短期化
(4) 念書の活用(債権額の明確化、保証人追加、反論阻止等)
(5) 公正証書の活用(私製証書から執行受諾文言付証書へ) 
(6) 商品の引き上げのための契約解除と代物弁済合意(後で揉めないようにきっちり固めておく)
(7) 内容証明通知の活用(最後通告と同時に少しでもすぐに回収できるような内容にする)
(8) 債権譲渡による回収(場合によっては代理受領や立会領収も考える)
(9) 手形発行+代表者裏書による支払促進
(10) 仮差押えの活用
(11) 不利な債権の回収は調停を利用
(12) 和解の際の支払い条件の工夫(一定期間プールさせて支払い癖を付ける)

 箇条書きなので、意味がよく分からないかもしれませんが、基本的な心構えとしては、「自分だけ助かればいいみたいな感覚で日常から債権管理を徹底し、いざという時は鬼のように回収する」というのがポイントのようです。そりゃあ、債権者側としては、回収に失敗すれば自分も死ぬかもしれないわけだから甘いことは言ってられないのは当然なんでしょう。むしろ、これぐらいの感覚が持てないようでは今の時代生き残れないのかもしれませんね。
 講義でもちょっと出ていましたが、久しぶりに本棚の奥に眠っている「なにわ金融道」でも引っ張り出して読んでみますか。


 分譲地と進入路(2012年9月20日)

 昨今の経済不況が続く中、それでも篠山市内でも多くの宅地分譲地が売りに出されています。
 ところで、分譲地には多くの場合各分譲地への進入路も作られます。進入路がないと土地が利用できませんし、建物も建築できないから当然です。
 さて、ここで今回の問題ですが、この進入路、所有者(名義人)は一体誰になっているのか?ということです。大きく分けて次の3つのパターンが考えられます。

 @ 宅地分譲業者
 A 市町村
 B 分譲地所有者全員の共有名義

 @は、分譲前の土地の所有者(開発業者)である事業者名義で残っているケースです。
 Aは、分譲に伴い進入路を市町村へ寄贈して公道となっているケースです。
 Bは、分譲地の各購入者に進入路の共有持分(10戸なら10分の1)を同時に譲渡しているケースです。

 まず、Aのケースは、権利関係が一番簡明であり、市等が引き受けてくれさえすれば以後の管理の面での利点もあり、問題が生じることは少ないでしょう。

 次に、Bのケースは、分譲地所有者全員が共同で使用する私道になるので、管理は必要でしょうが、権利関係等で争いになることはあまり考えられません。もっとも、分譲地を売買したり担保に供したりする際は、道路の分も忘れずに処分するように注意が必要です。

 最後に、@のケースですが、これがちょっと曲者です。最近は少なくなっているようですが、一昔前は進入路を分譲業者の名義のまま残しているケースも結構あり、その結果、現在に至っても分譲業者の所有名義で残っているケースが散見されます。こういった場合、分譲地の購入者が、将来、分譲地を売買等により処分したり、建物改築等のために住宅ローンを組んで抵当権を設定したりする際、支障が生じる場合があります。それは、簡単に言いますと、基本的には宅地と進入路はセットになってはじめて経済的価値があるので、購入者や銀行は、通常、宅地だけでなく進入路も同時に処分してもらうことを希望するからです。ところが、進入路が分譲業者所有のままだと、宅地について売買等をする際にあらためて分譲業者に協力を求めなければならないことも生じたりします。その場合、分譲業者が健在で協力的であればまだいいのですが、既に倒産してしまっていたりする場合も間々あり、そういった場合は、なかなか面倒な事態になりがちです。

 以上、分譲地と進入路に関するちょっとしたお話でしたが、もし自宅への進入路が上記のBのケースに該当する場合は、進入路の名義人が健在のうちに上記AやBの状態にしてもらうのも1つの対処方法かもしれません。はたまた、進入路に地役権(通行のための権利)等を設定するのも1方法かもしれません。もっとも、囲繞地通行権が成立しているため、進入路を通行する分には法的に問題がない場合もあるでしょう。いずれにしても、機会があれば一度ご自宅への進入路の権利状況を確認してみるものいいかもしれませんね。


 ADR 〜裁判以外の紛争解決〜 (2012年7月27日)

 先日、篠山でADRに関する司法書士会員研修を開催しました。
 というわけで、今回は、ADRに関するお話です。
 ADRとは、「 Alternative Dispute Resolution 」の頭文字を取った略語であり、直訳した意味は「代替的な・紛争・解決」ですが、簡単にいいますと、「裁判所における裁判手続以外の仲裁、調停、あっせん等の紛争解決手段・方法等の全般」のことをいいます。つまり、裁判以外の紛争解決方法のことですが、裁判は裁判所が一刀両断で紛争を解決するのに対し、ADRは紛争の実情に合わせてより柔軟な解決をするために使われます。

(ADRの主な特徴)
 @ 当事者の自主性が尊重される(特定の解決方法を強制されたりはしません)。
 A 非公開なのでプライバシーや営業秘密が守られます(裁判は原則公開です)。
 B 紛争分野に関する専門家を交えての解決ができる(裁判官はその分野の専門家とは限りません)。
 C 必ずしも法律に沿った解決には縛られない柔軟な対応が可能である(裁判では基本的に紛争解決に関係ないことは聞いてもらえません)。

(日本のADR)
 @ 裁判所での民事調停、家事調停
 A 行政型の公正取引委員会、国民生活センター
 B 民間型の交通事故紛争解決センター、PLセンター、商事仲裁協会
 C その他多数

 ところで、兵庫県司法書士会でも民間型ADRとして調停センター(愛称は「ぽると」)を最近立ち上げました。 先日の研修会の講師の方のお話によると、主に次のような場合に利用すると効果が期待できるとのことです。

 @ 法的な側面よりも感情的な側面が多いような紛争
 A 現在トラブルになっているが今後も引き続き関係を保っていかなければならないような当事者の間の紛争(相隣問題、職場問題等)
 B 当事者同士でいろいろな直接言いたい事を抱えている場合
 C 当事者が商売をしていて営業上の秘密や地域の信用を重視するような場合

 兵庫県司法書士会調停センターぽるとの利用手続の詳細はこちらのHPをご覧下さい。
 また、ひとりで利用するのを躊躇される場合は、まずはお近くの司法書士まで「ぽると」の調停利用についてご相談いただいたらと思います。


 権利行使と戸籍等の公開(2012年6月27日)

 我々司法書士が日常お受けしている法律相談の中では、「相手方が行方不明(音信不通、所在不明)である」といった問題が含まれていることが間々あります(そもそも何処の誰か分からないといった場合は除きます)。つまり、「いざ相手に自分の権利を行使しようにも所在がわからないので行使の仕様がない」という問題です。よくある典型例としては、@お金を貸したが返さずに行方不明になった、A遺産分割協議をしようと思うが相続人の1人が所在不明で連絡が取れない、B隣の土地の木の枝が成長して自分の敷地に入ってきているので切って欲しいが土地の所有者が所在不明で連絡が取れない、といったものが考えられます。
 ところで、法律的な主張に限らず、相手に何かを伝えたい場合、通常どういった方法が採られるか考えてみますと、@直接会う、A電話(電子メール)をする、B手紙を出すといった方法が一般的に考えられます。しかし、Aは相手の電話番号を知っているか番号が電話帳に載っていないと難しいですし(特に最近は電話帳に乗せる人が減ってきています。)、@とBは相手の現住所を知っていないと難しいです。そんなわけで、電話番号も住所も分からない場合は、とりあえず行き詰ってしまいます。
 こんな場合に有益な制度として、日本には戸籍と住民票の制度があります。ご存知のとおり、日本国民一人ひとりの本籍地、住所地を登録する制度です。よって、請求の相手方が日本国民であるならば、ごく例外的な場合を除いて戸籍と住民票に登録されているはずです(もうすぐ、日本在住の外国人も住民票に登録されるようになります)。また、日本の戸籍、住民票制度では、一時期の本籍、住所が判明すれば、そこから辿って最新(最終)の本籍・住所に行き着くことが可能となっています。
 そんなわけで、法律実務の世界では、権利を行使しようにも相手の所在が不明な場合は、まずは公の記録である戸籍・住民票から相手の現在の所在を調べていく、というのが所在調査の基本的な方法です。一方、相手の本籍や住所の手掛かりすらない場合は、もはや実地調査(立ち回り先の聞き込みとか?)しかないでしょう(もはや探偵業の領域でしょう)。
 以上から、まずは相手の戸籍・住民票を調べてみようということになるわけです。
 さて、ここからが今回のテーマのお話になりますが、戸籍や住民票の情報というのは極めて秘匿性の高い個人情報でありますから、むやみに公開されると個人のプライバシーを侵害することになりかねません。したがって、特に今回のように本人(相手方)からみて一定の親族以外の第三者が戸籍謄抄本や住民票写し(戸籍の附票を含む)の交付を求めるような場合については、一定の要件を満たすような場合でなければ交付請求はできないとされています。そして、この要件について、戸籍法や住民基本台帳法は次のように定めています(一部加筆・修正しています)。

(戸籍法)
第10条の2  前条第1項に規定する者(戸籍に記載されている者、その配偶者、直系尊属若しくは直系卑属)以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
1 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合(権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由を明らかにしてしなければならない)
2 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合(戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由を明らかにしてしなければならない)
3 前2号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合(戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由を明らかにしてしなければならない)
(以下省略)

(住民基本台帳法)
第12条の3  市町村長は、前二条の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、次に掲げる者から、住民票の写しで基礎証明事項(第7条第1号から第3号まで及び第6号から第8号までに掲げる事項をいう。以下この項及び第7項において同じ。)のみが表示されたもの又は住民票記載事項証明書で基礎証明事項に関するものが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該申出をする者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。
1 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
2 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者
3 前二号に掲げる者のほか、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者
(以下省略)

 両法とも似たような規定ぶりですが、要約すると、概ね次のようになります。
 @ 自己の権利を行使し又は義務を履行するために必要がある場合は、権利又は義務の発生原因、内容、戸籍謄本・住民票写し等を必要とする理由を明らかにして請求すれば交付できる。
 A 国又は地方公共団体の機関(法務局や裁判所等)に提出する必要がある場合は、戸籍謄本・住民票写し等の提出先及び提出を必要とする理由を明らかにすれば交付できる。
 B その他、正当な理由がある場合は、戸籍謄本・住民票写し等の利用目的、方法、必要な理由を明らかにして請求すれば交付できる。

 もっと具体的に言いますと、先の典型例@お金を貸したが返さずに行方不明になったというような場合は、貸主が借用書等の債権証書を役所窓口で提示して「借主に貸金返還請求権を行使するために現在の住所を確認する必要があるため(そのための訴訟で裁判所に提出するため)」として借主の住民票写しを交付請求することができるというわけです。ただし、役所窓口では請求者の厳格な本人確認(免許証等の提示)が実施されます。

 以上、戸籍や住民票の公開制度は、相手方の存否・所在が不明な場合における自らの権利の行使や義務の履行を行うための非常に有益な制度ですが、一方では相手方の個人情報を入手するというプライバシーに踏み込む行為でもありますので、戸籍謄本等の請求は法律の要件を満たしているか慎重判断して行わなければならないということです。

 ※ 因みに、上記の戸籍法、住民基本台帳法の規定は、平成19年法改正により改められたものであり、改正以前は「不当な目的によることが明らかなとき」以外は原則何人にも公開できるとされていました。
 
 最後に、戸籍を調べた結果相手方が既に死亡しており相続人も存在しない場合、住民票(戸籍の附票)を調べてその最後の住所へ赴いてみたが相手方は既にその住所に存在しなかったような場合はどのようにして権利行使すればいいのでしょうか?という問題が続いて生じることも間々ありますが、これらの問題についてはまたの機会ということにします。


 農地、森林取得の届出義務(2012年5月1日)

 近年の法改正により、不動産の取得に絡んで従来は不要であった各行政機関への届出が義務化されています。今回は、そんな届出が義務化された事項の中でも農地法と森林法の改正に伴う届出義務化について、相続を主として簡単にご紹介します。
 従来は、農地や山林を相続により取得した場合でも、別段、行政機関等への届出義務は課せられていませんでしたが、農地法及び森林法の改正により、原則として届出義務が発生します。

1.まずは、農地関係ですが、いわゆる農地を相続により取得した場合は、遅滞なく(おおむね10か月以内)に農業委員会にその旨届出をしなければなりません(農地法3条の3)。届出用紙は管轄の農業委員会でもらえますので、それを使用して届出をします。この届出を怠った場合は、10万円以下の過料に処されます(同法69条)。法律の施行は平成21年12月15日からです。なお、この届出義務は、相続以外の取得原因では時効取得や共有持分の放棄等が該当しますが、売買、贈与等により取得する場合については従来から許可が必要とされていますので、許可が必要とされる取得については別途届出義務はありません。

2.次に、森林関係ですが、地域森林計画の対象となつている民有林(ほとんどの森林が該当)を相続により取得した場合は、市町村長にその旨を届け出なければなりません(森林法10条の7の2)。届出期限は、取得から90日以内です。取得原因については制限はありませんので、相続以外の売買や贈与でも届出が必要です。ただし、国土利用計画法の規定による届出をしたときは、この届出は不要です。法律の施行は平成24年4月1日からです。届出用紙は、届出先の市役所担当課か県民局でもらいます。なお、この届出を怠った場合も、10万円以下の過料に処されます(同法214条)。

 以上のとおり、法改正により新たな届出義務が課されておりますので、農地や森林を相続等により取得された場合は、登記申請だけでなく忘れずに届出もしましょう。なお、いずれの届出手続もそれほど難しいものではありませんので、市役所等の担当窓口で説明を聞いて対応可能なものかと思います。
 ※ 司法書士に登記を依頼された場合は、届出についてもアドバイス(手続代行はできませんが)されるでしょう。


 内容証明通知(2012年3月26日)


 「内容証明郵便」といえば、最近では、特に法律専門家でなくとも一般に周知されている郵便制度ではないかと思いますが、簡単に言いますと、「送付する通知の内容を証明してもらえる郵便」です。証明してくれるのは、もちろん「郵便局(日本郵政株式会社)」です。
さて、法律実務の現場では、この内容証明郵便を利用する機会が多いですので、今回は、「内容証明郵便」について、以下、簡単にご説明します。

1.根拠
 郵便法48条(内容証明の取扱いにおいては、会社(日本郵政株式会社)において、当該郵便物の内容である文書の内容を証明する。)

2.効果
 相手方に送付した文書の「内容」及び「送付日」(到達日ではない)を郵便局が証明してくれる。
 よって、権利義務の得喪、変更に関する重要な通知(意思表示)を行う場合において、当該通知を行ったことの動かぬ証拠を残す必要がある場合に利用される。
 また、相手方に一定の精神的な負担(心理的圧力)を生じさせることを目的に利用されることもある。

3.利用例
 利用される主な例は以下のとおり。
 (1) 債権譲渡の通知
 (2) 契約履行の催告、契約の解除
 (3) クーリング・オフ
 (4) 貸金、売掛金等の債権回収通知
 (5) 時効の停止・中断(民法147,153)
 (6) 各種法令による契約の取消し
  ※ その他多数あり

4.利用方法
 (1) 文書の作成(パソコン利用の場合)
 @ A4用紙に横書きで、「1行20字以内、1頁26行以内」で、「同じものを3部(1部は相手方へ送付、1部は郵便局で保管、1部は通知者が保管)」作成します。
 A 市販用紙、便箋でも可能。
 B 使える文字に注意。原則として、漢字、仮名、数字のみ。記号や英字は使える場合、使えない場合あり。
 C 作成年月日、差出人の住所・氏名、受取人の住所・氏名を記載する。
 D 差出人の印鑑(認印でOK)を契印含め押印する。
 E 文書の内容は、「一定の法律効果の発生させる意思表示をしていること」、「意思表示の内容が一義的に明確であること」が重要。
(2) 送付
 @ 封筒を準備(受取人と差出人を記載する。但し、文書と同じ表示であること)。文書は郵便局受付で入れますので、まだ入れてはいけません。
 A 郵便局へ行き、受付に「配達証明付内容証明郵便でお願いします。」と告げてます。「配達証明」とは、相手方が受け取ったことを証明してもらう制度です。この「配達証明」を利用しないと、相手方に意思表示が到達したことの証明ができませんので、必ず「配達証明」を付けて送ってください。
  ※ 郵便局の担当者が様式(字数、行数等)のチェックをしますので、ちょっと時間がかかります。
  ※ 内容証明郵便を取り扱えない郵便局もありますので注意。篠山市は篠山郵便局(篠山支店)のみの取り扱いです。
  ※ 最新の料金は、日本郵便のHPで調べてお調べ下さい。

5.利用上の注意点
 (1) 先に述べた内容証明の効果を生かす場合に利用しましょう。何でもかんでも内容証明で出せばいいというものではありません。
 (2) 文書の内容が証拠として残ります。つまり、文書の内容が相手に利用される可能性があることも想定して文書を作成しましょう。よって、@相手を侮辱したり、騙したり、脅したりする内容を書くのは避けましょう。場合によっては、逆に慰謝料請求されたりします。A不必要に通知人側の手の内(特に不利な情報)を開示しないようにしましょう。相手につけ入る隙(有利な証拠) を与えてしまいます。「マズイ文書は出さないほうがマシ」です。
 (3) いくら内容証明郵便でも、相手方に受け取らせなければ意味がありません。受取拒否、不在等により通知が到達しない場合は、他の通知方法の利用も考えなければなりません。

 以上。内容証明を利用した法的通知については、具体的な法律相談や通知後の訴訟等も含め、司法書士までご相談下さい。


 駐車違反?保管違反?

 当事務所の近くに開通工事が長期間中断している道路があるのですが(原因は市の予算不足だそうで・・・。)、貫通しておらず車輌も通らないため、近隣に居住している方々のいい駐車場代わりとなっています。最近はちょっと改善されたような気もしますが・・・。
 ところで、このような駐車禁止区域でもない(だから警察も取り締まらないのか?)道路上に毎日の様に自動車を駐車(保管)することは許されるのでしょうか?答えはやっぱり×ですよね。こういう場合は、道路交通法ではなく、車輌保管法(正式には、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」)にひかかります。同法11条1項は、「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。」と定めており、同条2項は、「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。@自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為、A自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為 」と定めております。ただ例外規定(同法政令4条(例えばお医者さんの往診時の駐車はOK。))もあります。
 いずれにしても、特別な事情もないのに道路を駐車場代わりに使用してはならないという当たり前ことなんですが、田舎ではご存知のとおり保管法違反の自動車が多いですよね。因みに、この車輌保管法11条に違反した場合は罰則が規定されており、20万円以下の罰金(17条2項。これは刑罰ですので前科になります。)が科せられる可能性があります。ひどい場合は警察も動いてくれるようです。
 以上、誰も文句を言わないからといって(誰かに迷惑はかかっています。)、軽い気持ちで違法駐車を行っていると大変なことにもなりかねません。くれぐれもご注意を・・・。  


 生活保護って?

 景気低迷の今日、貧困に喘ぐ国民に憲法が保障している「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現するための最後の砦が生活保護制度です。
 しかしながら、この生活保護制度の具体的な中身やその運用形態については、あまり国民に知られていないのではないでしょうか?
 どこへ行けば保護を受けられるのでしょうか?
 保護を受けるにはどういった要件が必要なのでしょうか?
  @働く能力がある人は保護を受けられないのでしょうか?
  A借金がある人は保護を受けられないのでしょうか?
  B持家(住宅ローン付を含む)に住んでいる人は保護を受けられないのでしょうか?
  C自動車を保有している人は保護を受けられないのでしょうか?
  D僅かでも現金、預貯金がある人は保護を受けられないのでしょうか?
  E親兄弟や配偶者がいる人は保護を受けられないのでしょうか?
  F住所がない人は保護を受けられないのでしょうか?
 答えはすべて「いいえ」(正確には「受けられる可能性がある」)です。
 生活保護制度の利用がご自分ではどうにもならない時は司法書士に相談しましょう。


 実印ってなんで大事なのか?

 さて、「実印」について日常よく聞く言われる言葉では、「厳重に保管にしなければならない。」、「簡単に押してはならない。」というものがあります。その理由はと聞かれれば、多くの方は「実印を押したら自分が何かを認めた証拠になるから」といったことを答えられるでしょう。正解です。
 まず、世間一般でいう「実印」とは、役所にその印影を登録している「個人の印鑑」のことをいいます。「その人だけが使用することが予定されている印鑑」を予め公の機関に登録しておくわけです。そして、印鑑が登録された印鑑かどうかは役所が発行する印鑑証明書で印影を照合することで容易に確認できます。つまり、「押してある印鑑が誰の印鑑かということの証明が容易である印鑑」が実印というわけです。
 以上のような事情から、実印が書類に押されている場合、「通常本人しか使わないはずの印鑑が押されているから本人が行った」という証拠になり、また、「本人の印鑑かどうかの証明が容易」であるため、実印は大事ということになるわけです。
 では、実際、法律ではこの「印鑑」の効力についてどのように規定されているのかというと、民事訴訟法という法律に規定があります。この民事訴訟法というのは、簡単に言えば「民事の裁判手続に関する法律」です。つまり、法律上は、紛争の最終解決のための手段である裁判において、「印鑑」の効力が現れてくるわけなのです。これは、別に難しい話ではなく、「紛争に白黒つける場において印鑑(実印)の有無が影響してくる」という簡単な話です。
 具体的に見てみましょう。まず、印鑑に関する最高裁判所の裁判例があります。この裁判例では、「書類に本人の印鑑が押してあれば本人が自分の意思で印鑑を押したものと推定する」とされています。そして、現実の裁判ではそのとおりに運用されています。また、民事訴訟法では、「書類に本人の印鑑が押してあるときは、その書類は真正に成立したと推定する、詰まり書類に書いてある本人の法律行為が真正に成立したと推定する」と規定されています。
 ちょっと例を挙げてみましょう。100万円を借りたという内容の書類(借用書)にAさんの署名と印鑑が押してあります。ここで、印鑑が実印で押してある(印鑑証明書の印影と一致する)ことから、裁判例により「Aさんが自分の意思でこの借用書に印鑑を押した」ということが推定されます。そして、借用書にAさんの印鑑が押してあるということは借用書の内容である「Aさんが100万円を借りたという法律行為が真正に成立した」ということが推定されます。その結果、このままだと「Aさんは、確かに100万円を借りました」という事実が裁判所によって認められ動かぬ証拠になってしまうのです。
 ところで、自分の実印が借用書に押してあるために、このままだと100万円借りたことになってしまうAさんは、もし自分が借りた覚えがない、つまり印鑑を押した覚えがないような場合どうすればいいのでしょうか?ここでポイントとなるのは、裁判例も民事訴訟法もあくまで「推定される」としているところです。法律上、「推定される」という場合、「特に反対の事実が証明されない限り事実と認められる」ということになります。ということは、反対の事実を証明(いわゆる反証)すれば、Aさんは「自分の意思に基づき印鑑を押したという事実」ひいては「100万円借りたという事実」を覆すことができる可能性があるわけです。例えば、「印鑑を押したであろう時期には自分は出張等でその場所にいるはずがなかった」という事実や、「印鑑は第3者に預けていた」という事実等が該当します。
 さて、以上のようなことから、「自分しか使わない印鑑」というのは大事になるわけですが、法律的には、先ほどの具体例からみても、厳密に言うと「自分しか使わない印鑑」が大事なわけであり、「実印」が大事であるというわけはないのです。つまり、「ある人しか使わない印鑑である」ということさえ裁判で立証できれば、別に三文判でもいいわけです。ただ、その立証が容易でないために、予め印鑑を登録して「実印」を作り出し、その実印を押させることで、「確かに本人が書類に判を押し書類記載の法律行為を行った」という事実を容易に証明できるようにしているわけです。
 今回のまとめとしましては、「実印は押すと責任が容易に推定されてしまうので大事に扱いましょう」ということでしょうか。結論としては、いっぱしの社会人なら誰でも分かっていそうなことですが、実際に理論的に説明すると案外難しいものです。
 日本の昔からの風習である判子(制度)は実印に限らず日頃から気を配りたいものです。