2023年5月


 1万円か3万円か、どっちなんだい!?(2023年5月6日・vol.373) 

 あまり休み過ぎるといろんな意味で休み明けの反動が大きいので今日は通常どおり営業です。

 さて、つい先日同職の人(都会の同釜(おなかま))から次のような質問を受けました。)。

Q. 株式会社の役員変更登記と資本金が1億円超となる増資(募集株式発行等)の登記を同時に申請する場合で、役員変更と増資の各効力がまったく同時に発生する場合、役員変更登記の登録免許税は1万円か3万円かどっちなんだい?

 ネット検索では回答が得られなかったらしく、法務局に照会するのも面倒だとのこと(我々専門職が当局に照会(質問)をする場合、照会の趣旨、問題点、照会者(自身)の見解を記載した書面でしなければならないことになっているのです。)。

 確かにあまりなさそうな事案ですが、例えば募集株式発行で払込期日の前に全額払込みが終わっていて新役員が払込期日(0時00分)に就任するような場合なんかが該当するので、そう考えると十分に起こり得る事案でしょう。

 まず、株式会社の役員変更登記の登録免許税は、会社の資本金が@1億円超なら3万円、A1億円以下なら1万円となっています。

 また、登録免許税の税額の決定は、資本金増加の原因発生日(払込期日等)と役員変更の事実が生じた日(役員就任日)との前後により決するというのが登記実務となっています(登記研究415号)

 それでは、日にちはもちろん時間まで同時の場合はどないやねんということですが、実務家感覚で普通に考えれば効力発生がまったく同時の場合は3万円ですよね〜(登記費用を安く上げたい会社さんは残念)。なお、感覚だけでは心許ない人は登記研究433号に掲載の記事(合併増資と役員変更の事案)から推測してみるのもよいのではないでしょうか。

 という感じであくまで私見として回答しましたが、たまたま過去にやったことがあるからよかったものの、資本金1億円超の会社なんて滅多に見かけないような地方で司法書士をやっている私にそんなこと聞くなよって話でした。