丹波篠山市の司法書士事務所
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個人情報と相続(2019年12月26日・vol.303)
書店の法律ジャンルの書棚を見ていると、拷問全書なる物騒な本がありました。なるほど、拷問も刑罰ということで刑法に関する部類の本というわけか?それとも禁止されている拷問をやると刑法に触れるという意味なのかな?どっちにしても立ち読みするのはちょっと憚られます。まして事務所の書棚には置けません。
亡くなった被相続人(親)の個人情報について、相続人(子)であればどんな情報でも個人情報取扱業者(銀行)から開示してもらえるかというと、そうではない、という最高裁判所の判例が出ていました(
最高裁判所第一小法廷平成31年3月18日判決
)。
「個人情報が当然に相続の対象となるわけではない」
という考え方がちょっと興味を引きました。子供なんだから親の情報を知る権利があるはずだと言いたくなりそうですが、あくまで「そのひと個人の情報」なので、何でもかんでも教えてもらえるわけではないようです。
無利息の登記の要否(2019年12月11日・vol.302)
司法書士の仕事を始めた頃、
「この山のわちの所有権で揉めとるねん」
とご相談をいただいたことがありました。「わち」=「わたし」と思い込んだので(昔の某ドラマで「わちが〇代目スケバン○○じゃ」とか言ってた記憶があったので、どこかの方言かなと)、若干話がかみ合わなかった記憶があります。「わち」って
「山すそ」の辺りの土地の部分
を指す言葉なんですよねぇ〜(その部分の草を刈ることを「わち刈り」と言うそうです。)。
さて、先月は記事の更新をサボりましたが(ネタはあっても時間と気力なし)、おなじみのO司法書士から質問がありましたので、以下、ちょっとアレンジしてご紹介します(公表前提でOさんには回答しております)。
Q,個人A(何の事業もしていない一般の人)が法人B(株式会社)に対して無利息で融資をすることになったので、AB間で金銭消費貸借契約(契約書で利息は無利息と記載)を締結し、これに伴って当該貸金債権を担保するために、B所有の甲不動産(X法務局管轄)及び乙不動産(Y法務局管轄)を目的とする、Aを抵当権者、Bを債務者兼設定者とする抵当権設定契約を締結しました。よって、今回、甲不動産及び乙不動産について、当該抵当権設定契約に基づく抵当権設定登記(利息は無利息なので登記事項としない)を申請したところ、先に申請したX法務局が管轄する甲不動産については申請が受理され「利息の登記事項の記載がない」登記が完了しましたが、後に申請したY法務局が管轄する乙不動産については「利息の項目を設けて無利息と記載する」登記を申請するようにとの補正の指示がありました。共同抵当権なので不動産毎に登記事項が異なるわけにもいきません。一体どちらが正しいのでしょうか?
(考え方1)
1.Aは
非商人
、Bは
商人
である。
2.本件金銭消費貸借契約は、Bにおいて
商行為
である(会社法5条)。
3.本件抵当権の被担保債権(貸金債権)は、
商事債権
である(商法3条)。
4.本件金銭消費貸借契約は、
商人間における
金銭消費貸借ではないため、
当然に利息(法定利息)は発生しない
(商法513条)。
5.抵当権設定登記における利息の定めは任意的登記事項(利息の定めがある場合は登記をすることができる事項)である。
6.抵当権設定登記において利息に関する事項が登記されていない場合は利息に関する定めがない、つまり無利息であると理解されるところ、ここであえて
「無利息」の登記をする意義は、被担保債権の性質上当然に利息が発生する場合において、これと異なる旨を登記記録上において示すことにある。
7.本件においては、非商人・商人間の金銭消費貸借契約において利息発生の約定がないのであるから原則どおり無利息となり、よって、あえて無利息の旨の登記をすることに意味はないので、抵当権設定登記の申請事項として、利息に関する事項を掲げる必要はなく、また、利息に関する事項は登記される必要はない。
(考え方2)
1.任意的登記事項であっても、登記原因証明情報(抵当権設定契約書等)に記載のある事項については、これを登記しなければならない。
2.不動産登記法88条1項1号が規定する「利息に関する定め」には、「利息の有無に関する定め」も含まれる。
3.よって、登記原因証明情報において、被担保債権(貸金債権)の利息に関する定めとして「利息を無利息とする」旨の記載があるのであれば、抵当権設定登記の申請においても、申請事項として利息に関する定め(無利息)も掲げる必要があり、当該事項の申請がない場合は申請を却下すべきである
(昭和42年3月24日民三301号、登記研究64号,同240号,同470号)
。
登記実務的には形式的な考え方2でやった方が無難ですが、「利息は無利息」の登記をする実質的な意義からすれば、考え方1も理解できます。
さて、O司法書士は、今回の難局をどう乗り切ったのかですが、そこは伏せておきましょう。