2024年7月


 初めましてやお久しぶりは最初が肝心(2024年7月31日・vol.391) 

  遺言執行者において特定財産承継遺言(甲土地を妻○○に相続させる。)に基づく相続登記申請ができるのは、その遺言が令和元年7月1日以降に作成されたものである場合に限られますが、時間の経過に伴いこの遺言執行に慣れてくると、ついそれ以前に作成された遺言の場合でも遺言執行者の資格で登記申請をやってしまいそうな気がします。

 司法書士が登記申請を代理する場合でも、どの資格(相続人としてか、遺言執行者としてか)で登記申請をするのかと申請人の資格による登記手続の相違点を意識しておかないと痛い目を見そうな気がします(まだまだ令和元年7月1日より前に作成された遺言に基づく登記申請の方が圧倒的に多いので)

 さて、相続登記の義務化の名のもとに長年登記されずに放置された不動産の掘り起こしが増えてきていますが、こういう場合、相続人同士が面識なし、あるいは長年疎遠で連絡手段もないというケースも結構あると思います。

 その場合、主として動く相続人としては、まずは相手の相続人の所在を調査し、判明した住所に宛てて文書を送るケースが多いと思いますが、個人的に絶対やめた方がよいと思うのは、最初に送る文書で「○○が相続したいのでこの書面にハンコ下さい」と書くことです。送った相続人の意向と相手の相続人の意向が合わない場合、最初から反発を招く可能性があるからです。

 したがって、最初に送る文書の内容としては、まずは@丁寧な事情説明(相続関係(相続関係図の提示)や対象不動産の詳細な情報(場所、評価額、現場写真、問題点等)を伝える)、Aこちら側の意向の表明、B相手方の意向表明の促し、C今後の連絡方法の調整の4点程度にとどめておくのがよいのではないかと思います。

 前にも書きましたが、実際、無料相談の会場等で「司法書士からいきなりハンコ下さいの手紙が届いた」とお怒りの方を見かけることもいまだにありますので(せっかくの相続登記の機会が台無し)、これから関係希薄の相続人同士で相続登記手続を進めようという場合は、くれぐれも初動を誤ることのないようにしたいものですね。