丹波篠山市の司法書士事務所
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困難?な遺言執行(2023年12月29日・vol.385)
今日からいわゆるお役所はお休みですが、当事務所は一応今日まで営業しています。といっても、例年最終日は1年間の総括をする事務作業(事件記録の整理等)と来年の事業開始の準備作業をしています。1年のスタートはスムーズに入りたいですもんね。
さて、先月、日司連主催の
遺言執行に関する研修
を受けました。6時間のハードな研修でしたが、興味がある分野ならそれほど苦にならないので、あっという間に終わったというのが率直な感想です。
ところで、最近の研修は、事前の質問の受付もしていることが多いので、今回の研修では、私の積年のわだかまりをぶつけるべく、概要、下記のような質問をしてみました。
(質問内容)
質問趣旨
・農地法の許可を要する農地の遺贈がされた場合における遺言執行者の遺言執行の範囲と義務についてお尋ねします。
質問内容
・遺言者Aにおいて、相続人以外の第三者であるXに対し、遺産である農地甲を遺贈する旨の遺言がなされ、同遺言において遺言執行者としてBが指定されました。
・遺言者Aが死亡し、相続が開始したので、Bは遺言執行者に就任し、農地甲の遺贈を執行しようとしたところ、その時点では、受遺者Xにおいて、農地法第3条の許可要件を満たさないことが判明しました。
・この場合、遺言執行者Bとしては、即時に本件遺贈は執行不能と判断し、遺言執行を終了してもよいのでしょうか。それとも、受遺者Xにおいて将来的に農地法第3条の許可要件を満たす可能性等も考慮して、執行手続を保留とし、本件遺贈を執行することが可能となるように尽力する(受遺者Xが許可要件を満たすよう助言、指導、協力をする)ことまで要求されるのでしょうか。また、許可要件を満たす可能性が極めて低い場合(就農不能等)はどうでしょうか。
・また、仮に受遺者Xにおいて農地法第5条の許可要件は満たす場合、遺言執行者Bとしては、同条の許可を得てまでして本件遺贈を実現する義務はあるでしょうか(遺言には単に農地を遺贈するとしか書かれていないとして)。
・最後に、本件のように農地を相続人以外の第三者に遺贈する遺言がある場合において、受遺者が農地法の許可要件を満たさないため遺言執行が困難である場合の遺言執行者がとり得る方策として、可能であれば受遺者に理由を説明して遺贈を放棄してもらう方法が考えられますが、それが難しい場合、早期に遺言執行を終了させるために何かよい方法はありますでしょうか。
研修会では、一応、上記の質問の一部を取りあげてはもらいましたが、こういう具体的事件を想定した込み入った質問は研修会の趣旨にあまりそぐわないようで、さらっと流された感じでした。まぁ、個人的には、一部でも採り上げてもらえただけでも結構満足しています(まったく触れられないのが一番きついので・・・)。
来年も業務の傍ら、この分野の研究を続けたいと思います。