
2025年12月
登記名義と固定資産税(2025年12月23日・vol.411)  |
@不動産の所有権登記名義人とA固定資産課税台帳の所有者は一致するのが通常です。
ところが、ごく稀にではありますが、@とAが一致しない(それぞれ別人の)ケースが生じることがあります。
例えば、次のような状態です。
○ A土地の所有権登記名義人 Xさん
○ A土地の固定資産課税台帳の所有者 Yさん
日常生活では、毎年定期的に市役所から送付されてくる固定資産課税明細書しか見ることはありませんので、上記の相違について気付くことはありませんが、何らかの原因(相続登記申請等)で登記記録を調査する必要が生じた際に発見され、「なんじゃこれは〜」と驚きとショックを受けることもあるかもしれません(←言うまでもなく、ここでショックを受けているのは、自身が長年固定資産税を払い続けているにもかかわらず、登記名義が他人名義になっていることを発見したXさん、あるいはXさんの相続人等です。)。
そこで、以下で、@とAに相違が生じた原因の究明方法と解決方法を簡単に検討してみます。
1.原因の調査
@ Xさん名義で登記をした当時のA土地の登記済証(いわゆる権利書)を探します。
→ 登記済証がある場合は、法務局側の登記事務の誤りの可能性が出てきます。
A 現在の電子化された登記記録に移行する前の紙の閉鎖登記簿、さらにその前の旧土地台帳の調査をします。
→ 法務局側の登記事務の誤りの可能性が考えられる場合は、古い登記記録を閲覧してその発生原因を調べます。
B 市役所保管の固定資産課税台帳、土地台帳を閲覧して、固定資産税の納税義務者(所有者)の登録内容等を調べます。
C 土地が農地であれば、農業委員会で農地台帳を閲覧して現在の耕作者等の情報を調べます。
D 土地が森林であれば、市役所保管の森林台帳(林地台帳)を閲覧して、森林の所有者情報等を調べます。
E その他、A土地をXさんが取得するに至った経緯に関する資料(売買契約書や領収書、遺産分割協議書等)の収集、調査をします。
2.原因の究明
可能な限りの調査を行った結果、判明した事実関係に基づき、相違発生の原因の究明を行います。
(考えられる主な原因)
@ 法務局側の登記事務の誤り(登記漏れ、改製時の移記ミス等)
A 市役所における不適切な課税台帳事務(移転登記未了の不動産について申告により納税義務者(所有者)のみ変更した等←市町村によっては昔はこのような取り扱いもあったそうな)
3.登記是正への対処法
まず、原因が上記2@の場合は、根拠資料を法務局の登記官に提示して正しい所有権登記名義になるよう職権更正登記をしてもらいます(誤った登記を基にしてさらに登記がなされていない限り割とすんなりと更正してもらえる感じ)。
次に、原因が上記2Aの場合は、実体に即したなすべき登記の申請をしていない当事者側(XY)の問題であるため、状況に応じた個別の対応が必要です。
XY間の実体上の登記原因の発生を証明できる資料(売買契約書や領収書、遺産分割協議書等)がある場合は、資料提示のうえ、現在の登記名義人(Y)又はその相続人等と交渉します。
⇒ 登記申請手続への任意の協力が得られる場合はそれで解決、協力が得られない場合は、登記申請手続請求訴訟を提起のうえ、判決等の債務名義を取得し、X単独での登記申請を目指します(調停でもよい、対象不動産が農地の場合は許可申請請求も必要、また、許可申請請求権が時効消滅で敗訴のリスクあり)。
実体上の登記原因の発生を証明できる資料が無い場合は、対象不動産の時効取得の可能性も検討する(時効取得が未完成であれば、完成まで待つことも検討する(先走って主張した結果、時効完成を防がれないように注意)
以上、思いつくまま書きなぐりましたが(間違ったこと書いてましたらすみません)、もし上記のような事案にぶち当たった際の参考になれば幸いです。