2025年11月


 不要な別荘地の管理費問題(2025年11月22日・vol.410)  

 最近の不動産がらみのビジネスとして、管理・処分が困難な不動産を有料(将来の一定期間の管理費用相当額、譲渡費用等を譲渡人(引取希望者)が負担することが条件)で引き取る、というものがあるようです。これって、民間業者が行う相続土地国庫帰属制度類似の事業のように思うのですが、いろんな意味で今後どうなっていくのか気になります。

 近年(ここ5年くらい?)、相続関連のご相談を受けている際に割とよく聞かれる困りごとの一つに、大昔に被相続人が購入した遠方の別荘地の管理費に関する問題(長年に亘り未納となっている別荘地の管理費を管理業者から請求を受けていることへの対応問題)があります。司法書士は登記申請等の不動産に関連する法律事務を扱うことが多いので、この種の相談を受けることもしばしばあるのです。

 さて、消費者事件情報誌でも一種の消費者問題として以前から取り上げられており注目していました上記の問題に関して、令和7年6月30日、最高裁第一小法廷で2つの判決(不当利得返還等請求事件)が出ました。
 判決内容の詳細は、裁判所ホームページで閲覧できますので、そちらをご覧いただければと思いますが、一読して個人的に印象に残ったパワーワードは、

@ 土地を利用していなくても、
A 管理契約を締結していなくても、
B 管理業務の提供を望んでいなかったとしても、
C 管理業務が土地の経済的価値それ自体を維持又は向上させるものではなかったとしても、

といったところです(不当利得理論臭?がプンプン)。

 当然、きちんとした管理業務がなされていることが大前提なので、それがなされていない不当請求に対しては、今後も争っていかなければならないのでしょうが、処分困難な別荘地の負担が少しでも減ればと思う消費者目線からはちょっと残念な結果でした。

 こうなると、そこ(別荘地)にある土地を所有している以上、管理費用の負担を免れることはできない、もう、分譲マンションみたいな感覚になってきますが、加えて、このような別荘地については相続土地国庫帰属制度も現行制度ではほぼ確実に使えないことになるでしょうから(法5条1項4号・5号)、今後はどうにかして売却等により処分するか、どこかの世代で相続放棄するかしない限り、管理費用の負担から逃れることはできないということになるのでしょうか・・・。いったいどうすればよいのやら・・・(暴利の有料引取業者なんかが現れてこないか心配です。)。