2019年2月


 既に始まっている(2019年2月9日・vol.285)   

 改正民法(相続法)の施行日は、原則平成31年7月1日ですが(遺産分割関連、遺留分関連、相続の対抗要件、親族の特別寄与等々・・・)、自筆証書遺言の方式緩和(相続財産目録については自書不要、ただし目録各ページに署名押印)については、平成31年1月13日から既に始まっています。因みに、配偶者居住権関連は来年(平成32年4月1日)施行です。
 というわけで、これから自筆証書遺言を作りたいという方に対して、「全文自書じゃないとダメ」と言ってしまうと嘘になってしまいます。
 なお、施行日(平成31年1月13日)より前に作成された自筆証書遺言については、「なお従前の例による」とされていますので、新法は適用されません。したがって、昔に書いた方式不適合(無効)な遺言書(財産目録が印字されているものとか)が新法の施行により有効になったりはしません(そういえば不動産目録部分をタイプ印字した自筆証書遺言が無効とされた裁判例(司法書士が関与)が昔あったような・・・)。
 自筆証書遺言の方式緩和について、詳しくは、法務省HPをご覧ください。
 また、遺言書関連の法改正で、法務局で自筆証書遺言を保管してくれるようになりますが(「法務局における遺言書の保管等に関する法律」)、この制度は、来年(平成32年7月10日)から開始ですので、新方式の目録印字型自筆証書遺言を作成したからといって、早速、法務局に保管してもらいに行かないようにご注意ください。
 法務局の遺言書保管制度についても、詳しくは法務省HPをご覧ください。

(参考) 改正民法(自筆証書遺言関連) 
(平成三十年七月十三日公布(平成三十年法律第七十二号)改正)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

施行期日
第一条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
省略
A 第1条中民法第968条、第970条第2項及び第982条の改正規定並びに附則第6条の規定 公布の日から起算して6月を経過した日
省略
(自筆証書遺言の方式に関する経過措置)
第6条 附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日前にされた自筆証書遺言については、新民法第968条第2項及び第3項の規定にかかわらず、なお従前の例による。