2018年12月


 遺言と異なる内容の遺産分割をした場合のリスク(2018年12月19日・vol.283)   

 法務局と裁判所、どちらが文字の字体にこだわる役所かというと、それは後者で間違いないでしょう。前者では、誤字俗字と正字の関係にある文字同士や同音同義で表記の同一性がある文字同士(新旧字体の関係等)であれば基本的には同一文字として扱ってもらえますので、字体にこだわらなければとりあえず通用字体で記載しておけば手続上は問題ない場合が多いですが(司法書士は結構こだわりますけど・・・)、後者では戸籍や住民票に記載のとおりの字体で書類を作成しないと必ずと言っていいくらい訂正の指示があります(あるいは勝手に直されている・・・)。「同一文字だから字体はどうでもいいじゃん」というわけにはいかないのです。そして、そうなると、書類の作成で困るのがパソコンのワープロ機能では通常出てこない字体の場合。何とか作れそうな文字なら外字エディタで作りますが、これは作るのが大変という場合は手書きで対応せざるを得ません。それにしても、「これって異字体じゃなくて単に機種によるフォントの違いでしょ!?」としか考えられないような場合に訂正の指示があると、ちょっとうんざりしてします

 さて、前置きが長くなりましたが、以下、本題のお話です。
 遺言が存在するが、当該遺言の内容と異なる内容の遺産分割をする場合も実務では間々ありますが、その場合で遺産分割終了後において死後認知(民法787条但書)が認められた結果として相続人が増えると、当該新たに相続人となった者からは、遺留分減殺請求(民法1031条)ではなく、価額支払請求(民法910条)がなされるリスクがあるようです(東京高判平成29年2月22日参照)。なんで「リスク」かというと、一般に前者よりも後者の請求の方が高額の支払いをしなければならないからです。
 遺言どおりに財産を処分すれば、仮に後から認知された相続人が増えても遺留分減殺請求しかされないところ、ちょっと遺言と違う遺産の処分をした結果、遺留分以上の財産を渡さなければならないことになるということでしょう。
 まぁ、死後認知なんてそうそうありませんので、普通、そこまでの事態を想定しませんけどね。