2020年10月


 登記記録と課税記録の相違(2020年10月21日・vol.313)  

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 さて、今回は、登記記録上の所有者と課税記録上の納税義務者(つまり所有者)が相続関係もない全くの別人である土地が存在するというお話です。

例:登記記録はA名義、課税記録はB名義の土地

 珍しいと言えば珍しいケースですが、比較的登記が適時にされないまま放置されている土地が多い地方ではまま見かけるケースです。また、この場合、A、B共にすでに死亡しその後数次の相続が発生しているパターンも多いと思われます。

 こんな場合、まずは現在の登記記録から閉鎖登記簿を経て旧土地台帳まで遡って原因を調査するのが基本的な調査の仕方ですが、土地台帳(現在でいう固定資産税の課税台帳)を調べると、AからBに所有権が移転し、年月日登記した旨の記載がなされていることがあります。

 ちなみに、登記簿と土地台帳の経緯について簡単に言いますと、
@ もとは、登記簿は登記所(法務局)管轄、土地台帳は税務署管轄で事務処理
A その後、土地台帳が登記所(法務局)に移管され、登記簿と土地台帳が共に登記所(法務局)管轄で事務処理
B その後、登記簿と土地台帳が一元化され、登記簿(登記記録)のみが法務局管轄で事務処理されるようになり現在に至る、
みたいな感じです。

 次に、このような登記と課税の記録に齟齬が生じている状況になっている原因はというと、主に以下の2つが考えられます。
(1) 当事者(A、B)において売買等をしたが、登記の申請はせず、課税(土地台帳)のみ届出を行ったパターン(現在はこの扱いはできないですが、昔はこれができたらしい)
(2) 登記の申請(嘱託)はされたが、役所(登記所)における登記手続上の誤りにより登記がなされておらず、課税(土地台帳)についてのみ変更がなされているパターン

 そうすると、先の登記簿(登記記録)と土地台帳(課税記録)の事務管轄の変遷における@またはAの過程において、上記(1)または(2)のような事情が生じた結果、登記と課税の所有者の記録間に齟齬が発生しているのではないか、という推測ができることになります。

 それでは、本題の齟齬を解消するにはどうすればよいかですが、そこはもう個別の事情に応じた具体的なお話になりますので、お近くの司法書士にご相談されるとよいでしょう。