2024年2月


 相続放棄と代襲相続(2024年2月14日・vol.386) 

 令和6年4月1日からいよいよ相続登記の義務化が始まるということで、界隈は徐々に盛り上がっている様子です。義務化を心配されるお声もよく聞かれますが、制度の詳細を知っていれば恐れるに足らずですので(そう簡単に過料罰は課されない)、義務化云々はともかく、せっかくの機会なので、これまで棚上げになっていたご先祖様名義の不動産を整理されてはいかがでしょう。

 ここで、相続登記「手続」のポイントを上げるとすれば、専門的な法的判断を要する場合を除くと、@相続人の確定作業A相続対象不動産の確定作業B登記手続書類の作成作業の3点だと思いますが、特に重要なのはAでしょう。@とBは、不備があれば法務局から指摘がありますが、Aは申請人自身の判断によるからです(相続対象不動産が漏れていても法務局からは分かりません。)。相続登記の対象となる不動産の調査は、くれぐれも慎重に行うことが肝要なのです(そうは言っても調査にも限界がありますので、司法書士に手続を依頼しても漏れるときは漏れますけどね。)。

 とまぁ、こんな具体に、司法書士に相談すれば相続登記のやや高度なポイント(相続対象不動産の調査方法の詳細等)なども聞けますので、仮にご自身で相続登記手続をされる場合でも、司法書士会の無料相談会を利用する等して、できるだけ手続の「質」を上げるようにしていただけたらよいのではと思います。

 さて、前置きが長くなりましたが、今回は、上記の相続登記手続のポイントのうち、@相続人の確定作業に関して、たまにある相談事例のお話です。

(仮設事例)
・被相続人である祖父A(令和6年2月1日死亡)には、子B(平成20年4月1日死亡)があり、Bの子である孫Cがいます。
・孫Cは、父Bの相続について、過去に相続放棄をしています。
・今般、祖父Aの相続に関して、孫Cは、代襲相続人となるのでしょうか。

民法第887条(子及びその代襲者等の相続権)
1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

 代襲相続に関する民法第887条の条文(下線部分)をそのまま読めば、孫Cが祖父Aの代襲相続人となるための要件は、被代襲者Bの子であることのみですので、過去にCがBの相続を放棄しているか否かは関係ないことになります。

 したがって、孫Cは、祖父Aの相続に関して、相続人になりますので、祖父Aの相続登記手続をする場合は、遺言でもない限り、孫Cの関与が必要になるのです。

 専門職の人からすればなんてことはない相続に関する知識かもしれませんが、ふいに質問されると案外戸惑うかもと思いました。ご参考まで。