2021年7月


 改正債権法と企業間契約実務の研修(2021年7月2日・337) 

 最近読んだ某法律業界雑誌に「現在社会ではインターネットで法律情報を含めいろんな情報が誰でも、いつでも、どこでも入手できますが、実務の現場では言うべき人(その道の専門家)が困っている相談者の方にその情報を直接言うことが大事なんです」みたいな趣旨の話が載っていました。ネット情報自体が玉石混交で信ぴょう性が疑わしいものも溢れている中で、最終的にはその道のプロが責任を持って発言することで相談者が安心を得られるということなのでしょう。
「先生が言ったら〇〇さんも安心(納得)すると思うねん」みたいな・・・・?

 さて、先日、表題のテーマの研修を受講しましたので、前回同様、要点をまとめてみようと思いましたが、資料を読み返してみると意外と重要な点が盛りだくさんなので、絞りに絞って5点のみ検討テーマをご紹介します。なお、研修の趣旨は、民法(債権法)改正を踏まえて企業間における売買等の取引契約書の内容を改めて検討してみよう、みたいな感じでした。

1.契約不適合責任
 商人間の売買契約であるから、商法526条を踏まえ、検査期間(遅滞なく、6か月)を契約書で具体的に定め、立場(売主、買主)に応じて期間の長短を検討すべし。 なお、同条3項を排除する特約の可否も検討すべし。

2.債務不履行責任
 損害賠償の範囲に関する民法416条2項(特別損害)の規定を踏まえ、契約当事者の予見可能性の範囲を拡大する趣旨から、契約の目的規定において契約の趣旨・目的を具体的に規定しておくべし。

3.契約解除
 契約解除に債務者の帰責性が不問となったことに伴い、無過失解除の制限、無催告解除の範囲拡大等を検討すべし。

4.債権譲渡
 債権譲渡制限特約があっても債権譲渡が原則有効となったことに伴い、契約書での債権譲渡制限(禁止)特約の規定の仕方を検討すべし(立案担当者の解説(債権譲渡は譲渡制限特約違反にならない、債務不履行にもならない)はとりあえず無視して)。

5.(根)保証契約
 保証極度額、主たる債務者の情報提供義務、元本確定事由、保証意思宣明公正証書、保証人への履行請求の効果(相対効)、主契約(賃貸借等)更新の影響等の各改正項目の内容を踏まえ、 保証条項の内容を検討すべし。

 つい先日、私用で某病院の入院契約書類を見ることがありましたが、保証条項にはきっちりと保証極度額50万円との記載されていました。皆さんも入院契約や賃貸借契約等(個人根保証契約)の際に保証人になる場合は契約書への極度額の記載の有無をチェックしましょう(極度額の定めがなければその保証契約は無効です)。