2022年9月


 相続・遺言実務の最先端の研修(2022年9月30日・vol.363) 

 面白い研修は4時間程度のものでもあっという間に終わってしまいますが、相続遺言実務の大家であられる弁護士F先生の研修もそんな研修の一つです(私は先生の近年の書籍は全部持っています。)。
 以下、他府県の司法書士会開催のF先生の研修を受講したまとめです。

1.遺言は、その人の意思能力のレベルに合わせた内容にすべし
→ 何でもかんでも凝った内容の遺言内容を提案するのは厳禁である、遺言の作成過程の証拠(診断書、作成時の映像映像等)を残すことも忘れずに、公正証書遺言を作成する場合でも可能であればまずは自筆で遺言書を作成してもらいましょう

2.成年被後見人等が受遺者・受益相続人となる場合は、成年後見人等は必ず債務状況の調査をすべし
→ 資産以上に負債を承継しては不利益しかない、成年後見人等の責任は?

3.遺言無効を考える際に参照する諸々の資料(介護保険の認定調査資料や医師の診断書類等)は親族や支援者等の意向を忖度して加重判定がなされている可能性があるので、鵜呑みにしてはいけない。
→ この辺の事情は、成年後見人等をやったことがある司法書士ならよく実感できる?

4.高額遺産に関する遺言の紛争事件では、常に納税期限と納税資金のことを念頭に置いて事務処理の方針や手段を検討すべし

5.高齢相続人の引き離し目的での法定後見申立に対しては、任意後見契約の締結で対抗できる?

6.受遺者、受益相続人の先死亡に備えた予備的遺言ができるなら、遺言執行者についても同様に予防線(予備的指定委託等)を張っておくべし

7.裁判所選任の遺言執行者に就任する場合は、報酬確保の観点から予納金の有無について事前に確認しておくべし(遺言執行者の場合は必ず予納金が収められているとは限らない)
→ 予納がない場合は、予納させてから就任しましょう

8.特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)の受益相続人が遺言執行者にも指定されている場合において、遺言執行者の職務負担を回避する目的からあえて遺言執行者に就任しないで、受益相続人として単独で不動産、預貯金等の相続手続をすることは是か非か、なお、受益相続人の相続手続の依頼を受けた弁護士等が遺言執行者の事務についても関与することは他の相続人等との関係で利益相反行為となる。
→ 代理関与はできない司法書士でも要注意か

9.不動産の登記(対抗要件具備)について、改正民法(相続法)で遺贈の履行権限は遺言執行者専属となったのに(民法1012条2項)、来年施行の改正不登法63条3項では相続人に対する遺贈登記は受遺者相続人が単独で登記申請できると規定されたことは、遺言執行者の職務権限との関係でどのように考えるべきか
→ 明確な解説は無し、後日F先生の書籍で触れられる様子?

10.内容証明で金銭の請求をする場合は、単に遅延損害金の利率を書くだけでなく、1日、1月、1年でいくらの損害金が発生するかも具体的に記載して請求すると効果が出る場合がある(一つの請求テクニック)。

11.特定遺贈か包括遺贈かの解釈・判断は事案によってはかなり難しく、どちらになるかで取るべき事務処理の方針も大きく変わることがある。

12.遺言執行者の指定がない遺言の解釈で紛糾したときは、まずは遺言執行者の選任申立てをすべし

 とりあえず、記憶に残ったところはこんな感じでした。