2021年11月


 遺産承継目的の養子縁組と死後離縁(2021年11月20日・vol.347) 

 令和3年10月号の月報司法書士(596号)に死後離縁に関する最近の裁判例として下記のものが掲載されていました。
 
 東京高裁決定令和元年7月9日判タ1474号26頁

 事案は、かいつまんで言うと、被相続人Xが孫Aに遺産を承継させる目的でいわゆる孫養子縁組をし、Xの死後、目的通りにAがXの遺産を承継したので、Aが亡Xと死後離縁をするために家庭裁判所に死後離縁の許可申立てを行った、みたいな話です。
 
 一般的には、「遺産を受け取っておいて後は関係ないからさようなら(死後離縁)」みたいなことは死後離縁許可の消極事由に該当すると思われますが、本事例では、抗告審において、残る養方親族の家族関係や経済事情等を考慮(Aの養方の親族に対する扶養義務を検討)して許可がされた感じです。
 
 単に遺産をある程度相続したからといって死後離縁が許可されないわけではない、ということを考えるための事例として参考になりました。



 消費者保護の後退?(2021年11月6日・vol.346) 

 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」に基づき長期相続登記等未了土地として法定相続人情報の作成付記登記がなされた土地が徐々に増えてきていると思いますが、この法定相続人情報を相続登記手続等において活用する際は、感謝の気持ちを込めて合掌しましょう。これ(法定相続人情報)は全国の司法書士有志の血と汗と涙の結晶なので。

 さて、先日、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年6月16日法律72号)が成立しましたが、これに伴い「契約書面等の交付に代えて、購入者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる」こととされました(未施行)。つまりは、訪問販売等の際に事業者が消費者に交付する契約書面等の電子化が(購入者等の承諾を条件に)今後は認められるようになるというわけです

 ところで、例えば、訪問販売の場合、商品等を購入し法定書面(申込書面または契約書面)が交付されてから優に8日以上が経過していても事業者から交付された書面に不備がある場合はクーリング・オフができるので(法定の要件を満たした書面が交付されない限りクーリング・オフのための熟慮期間は開始しないという理論)、熟慮期間オーバーのケースに対するクーリング・オフの実務では、まずは交付書面に不備が無いかをしらみつぶしに探すのですが、今後は交付書面が電子化されるとなると、法定書面の有無や内容の調査等の面でちょっと対応がし辛くなり(電子データの所在が不明、内容の一覧性が劣る等)、延いては消費者保護が後退してしまう予感がします。