2023年4月


 相続人資格重複問題と法定相続情報証明一覧図(2023年4月7日・vol.372) 

 令和5年4月1日から改正民法・不動産登記法が施行されることに伴い、毎度のことながら年度末ギリギリに不動産登記に関する規則や通達が開示されたので一通りチェックしなければならず、加えて登記に関連する4月からの税制改正情報や令和5年4月27日から始まる相続土地国庫帰属制度に関する膨大な資料にも目を通さなければなりませんので、いつもならカオス状態に陥っているはずですが、昨年度に関連する研修を受けまくり、雑誌も読みまくったせいか、結構わかっている自分にちょっと納得している今日この頃です・・・。あぁ〜、裁判手続IT化の方もそろそろ準備を始めないとなぁ〜・・・。

 さて、単純に相続登記手続だけをする場合はともかく、その他の遺産も含めた多種多様な相続手続をしなければならない場合においては、まずは、法定相続情報証明一覧図の保管・交付の申出手続をするのが最近の相続実務のテッパンになってきているもの思いますが、この制度がまだ始まったばかりの頃に法定相続情報証明一覧図の書き方の関係で不覚にもふと考え込んでしまったのが今回のネタです。

 まず、相続人資格の重複の問題ですが、有名なのが@養子(被相続人)が養親の実子(女)と婚姻した(いわゆる婿養子)が子供、尊属はいない状態で相続が開始した場合(配偶者としての相続人資格と兄弟姉妹としての相続人資格が重なる場合)A祖父(被相続人)が亡子の子(孫)を養子にした状態(いわゆる孫養子)で相続が開始した場合(代襲相続人としての相続人資格と子(養子)としての相続人資格が重なる場合)の2パターンです。

 登記・戸籍先例では、@については、配偶者としての相続人資格しか認めないとされ(昭和23年8月9日民事甲第2371号民事局長回答)Aについては、両方(2口)の相続人資格を認める(昭和36年9月18日民事甲1881号民事局長回答)、とされています(理屈や結論の是非についてはここでは置いといて、少なくとも法務行政での実務の扱いは現在もこうなっているはずです。知らんけど・・・)。

 では、@やAのパターンにおいて、法定相続情報証明一覧図を作成する場合、どのように相続関係を表記したらよいのでしょう。法務局のHPには現在でもこれらのパターンの記載例が出ていないので一瞬ちょっと考え込んでしまう人もいるはずです(私だけじゃないはず・・・)。

 でも、そもそも法定相続情報証明一覧図は戸籍謄本等の資料に代わるものであると考えれば、一覧図には戸籍謄本等の資料のみから読み取れる相続関係をそのまま表せばよいだけのはずであり、相続人資格の重複が認められるか否かの問題は一覧図の作成段階では気にする必要はないのです(そんなものは遺産分割の場面で自由に議論すればよいのです)。

 そうすると、Aの場合は、代襲相続人と子(養子)の両方の関係を記載し(こちらはそもそも迷わない)、@の場合でも、一覧図には配偶者と兄弟姉妹の両方の関係を記載することでよいはずです。

 というわけで、当時、念のため当局にも照会をかけてみましたところ、いつものお言葉をいただきましたのを思い出します(←どっちやねん)。